琵琶湖写真家に極意を聞く!フォトグラファーと素人の写真の撮り方の違い
こんにちは。おばTです。
みなさん、写真っていつもどうされてますか?スマホで撮る?自分のカメラで撮る?フォトグラファーにお願いする?
スマホもカメラも良いものが出ているし、素人でも撮ろうと思えば撮れるじゃないですか。そうは言っても、ボクはセンスがないので上手く撮れないんですけど…。
プロのフォトグラファーは素人と何が違うんだろう。プロにお願いする意味や意義はどこにあるんだろう。
「写真を良い感じに撮ってもらうためにお願いする」ぐらいの感覚しかないボクは、長浜航海記の写真撮影でもお世話になった、フォトグラファーの辻田新也さんに話を聞いてきました。
辻田さんの写真に対する思いや“フォトグラファーと素人の違い”について深掘りします。
辻田新也|フォトグラファー
長浜市在住の写真家。株式会社OWLARTS代表。アウトドアクリエイターチーム「HikU」にも参加。息子につけた名前がきっかけで琵琶湖の写真を撮るのがライフワーク。趣味は読書。好きな食べ物はゆでたまご。
<先に分かる「デザイン発注のいろは」>
辻田さん撮影写真。
性格によって変わるフォトグラファーの専門性
「フォトグラファー」と言っても、いろんなタイプのフォトグラファーがいませんか?
人物や風景、料理や建物、報道系など、いろんなジャンルを専門とするフォトグラファーがいますね。
専門を見極めるにはどうすればいいんでしょうか?
フォトグラファーの多くが、SNSやホームページで過去に撮影した写真を載せているので、まずはページを見てみましょう。
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写真とともに「〇〇専門のフォトグラファー」と記載していることも多いですし。
そういえば、見たことがあります…!
もちろん、どんなジャンルも撮ろうと思えば撮れるんですが、フォトグラファーによって得意不得意は存在します。
「できなくはないけど、専門でははない」ということか。
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人物を撮るのと風景を撮るのとでは、違った難しさがあると思います。写真それぞれの違いはどこにあるんでしょうか?
フォトグラファーの性格やコミュニケーションの仕方、時間の使い方によっても変わりますね。あとは、持っている機材によって撮影の難易度が変わってきます。
例えば、スポーツ写真を撮るのであれば、オートフォーカス性能が高いカメラの方がいいし、街並みを雰囲気良く撮るのであれば、古いフィルムのカメラを使ってじっくり撮る方がいいかもしれない。
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写真を撮る目的や状況次第で、難しさが変わってくるのが写真の世界なんです。
ちなみに、辻田さんはどのジャンルの撮影が好きですか?
どのジャンルも好きですが、特に好きなのは風景や建築など、じっくりと構図を調整しながら情報を整理していく撮影です。
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笑顔を引き出すのが得意な人もいますし、臨場感を伝えるのが得意な人もいます。フォトグラファーの性格や個性によるところが大きいですね。
フォトグラファーと素人の大きな違い
頑張れば素人でも綺麗な写真を撮ることができると思うんです。その中で、フォトグラファーにお願いする理由はどこにあると思われますか?
情報の整理力ですね。写真は切り取り方次第で、伝わるメッセージがガラッと変わります。
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例えば、りんごを持った手元の写真であれば、りんごを伝えたいことが分かりますよね。一方、りんごを持った女性の顔も写った写真であればどうでしょうか。りんごではなく、女性の存在を伝えたい写真になります。
被写体が同じでも、伝わるメッセージが全然違う…!
見えているモノのどこを切り取って、どこに余白を作るのか。写真から放たれるメッセージの違いを理解しているかどうかが、フォトグラファーと素人の差。
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お客様が伝えたいメッセージを正しく写真で翻訳できるのが、良いフォトグラファーですね。
写真で翻訳…!分かりやすい!
正しく翻訳するためにはヒアリングが一番大事。お客様の言葉をできる限り具体的に理解するように意識しています。
どういうことでしょうか?
例えば「社員が仕事をしている風景を撮ってほしい」と言われて「はい、分かりました」ではまだ情報が足りません。
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社員の写真を撮ることで何を伝えたいのか、までを深掘りしないと、撮った“だけ”で終わってしまいます。
ボクなら簡単に「YES!」って言うかも…
「たくさん社員がいる中で働けることをアピールする」「髪型も服装も自由な現場であることを伝えたい」「みんなが楽しく仕事ができる職場ということを知ってほしい」社員の写真を撮るにしても、意味合いが全く違いますよね。
全然違いますね。
撮影意図は細かく聞かないと出てこないこともあります。そのため、お客様もフォトグラファーも納得した写真を撮るためには、ヒアリングが一番大事になるんです。
話をする中で、新たな発見もありそうですね。
話したり提案したりしていると、お客様の中で「その提案内容については考えたこともなかった」という場面が出てきます。
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お客様の考えをや新たな発見を引き出すのもフォトグラファーにとっては重要な仕事。
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お客様の要望を、より具体的に言語化できるお手伝いもしています。
スマホのレベルは上がってきていますし、綺麗な写真はプロのフォトグラファーでなくても撮影できます。だからこそ、フォトグラファーとしての存在意義は、翻訳力や情報整理力にあるのかなと。
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「どんな写真を撮るべきなのか分からない」というときに強力な味方になってくれるのが、フォトグラファーという存在です。
撮影の流れ
撮影を依頼するときの流れについても教えてください。
お問い合わせをいただいたら、まずはヒアリングを行います。どんな写真を撮りたいのかを聞くだけでなく、内容によっては仕事への思いや理念なども聞いていきます。
思いの部分も聞かれるんですね。
話をしていくと、お客様の考えや頭の中が少しずつ見えてくるんですよ。
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撮りたい内容が明確なのか、イメージはまだ湧いていないが熱い思いがあるのか、など提案に繋がる部分が見えてきます。
“提案”というワードが出たんですが、いろんなパターンのプランがあるということですか?
事務的な話で言えば、撮影に半日かかるのか数日かかるのかでは、かかる費用が変わってきますよね。また、お客様が求める写真によって、準備する機材が変わってきます。
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その他、撮影環境の相談や必要な人員数、モデルの有無など、撮影をする上で必要なことをお聞きし、ヒアリングは終了です。
人物と風景を撮るのとでは必要な機材が変わるもんなあ。
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撮影プランが見えてきたら、次は見積もりに入るんでしょうか?
そうですね。相談の段階ではお金をもらっていないので、撮影プランに応じた見積もりをお出しします。
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お客様によっては「お金はかかってもいいから、ハイクオリティの撮影をお願いしたい」という方や「予算があまりないから、抑えられる部分は抑えて撮影してほしい」という方もいます。
同じお客さんでもタイミングによって、求める条件が変わりそう。
フォトグラファーとしては「お客様とどう向き合うのが一番喜んでいただけるのか」を考えて、提案しています。
「フォトグラファー=写真を撮る人」というイメージだったんですが、ヒアリングや提案など、企画を考える仕事でもあるんですね。
仕事の受け方にもよりますが、僕が仕事を受けるときは「何のために写真撮影をして、どんな写真が必要なのか」を深掘りすることが多いです。
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自分は情報を整理するのが好きなので、やりがいはありますね。
費用の相場感
費用の相場感についても教えてください。
ジャンルや撮影にかかる日数や時間によって変動するものの、写真撮影の場合は3万円〜10万円の仕事が多いですね。
他に、頭に入れておいた方がいいことはありますか?
他に知っておいてもらえると嬉しいこととしては、フォトグラファーの仕事は写真撮影だけではないということ。実は、編集作業にもかなりの時間と労力がかかるんです。
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また、撮影の段取りをシュミレーションして準備するなど、準備にも時間がかかります。そのため、費用は撮影だけにかかるものではない、ということを理解してもらえると嬉しいです。
バッチリ頭に入れました!
既にお客様の中に魅力的なものがいっぱいあるので、その魅力を多くの方に届けるお手伝いをするのが僕たちの役割。
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魅力を一緒に広めるパートナーとして、お客様と喜びを分かち合える仕事ができたら嬉しいです。
「良い写真=オシャレな写真」は幻想だった…。フォトグラファーの仕事は写真を撮る前から始まっているなんて。辻田さんの「良い写真=良い翻訳」という捉え方がスッと腑に落ちました。
また、取材中の写真はボクが撮影したんですが、辻田さんに撮影のコツを教えてもらってからは納得できる写真になりました。撮影技術をうまく言語化していただいたことで、センス皆無のボクでも上手くとれるように。さすがです。
写真に関して相談したいことがある方はぜひ辻田さんにご相談を。ただ写真を撮るだけではなく、歩みを合わせた丁寧な伴走をしてくださいます。
お問い合わせはホームページもしくは辻田さんのInstagramまで。
長浜航海記・航海士。永遠の野球小僧。「長浜にはしばらく帰ってこーへん!」と言いつつ、23歳のときに爆速Uターン。以来、地元のことがちょっぴり好きになりました。野球と筋トレ、オードリーが好き