VOYAGE RECORD

船員の航海記

約400年、代々引き継がれてきたオカンの味。食を通して地域の文化を繋ぎ続ける

こんにちは。おばTです。

先日、何気なくテレビを見ていると、長浜で活動しているある団体が取り上げられていました。

テレビに映る「発酵オカン」という文字。そして、エプロンをつけた女性たち。

一体どんな団体で、誰がどんな思いでやっているんだろう。ふつふつと沸いてくる好奇心がくすぐられます。

そこで、インターネットで「発酵オカン」と検索。すると「オカンの発酵便」という商品も見つけ、さらには事務局を発見。事務局のメンバーはすでにボクが知っている人たちだったので、連絡をとり取材をすることに。

オカンの発酵便を販売するオンラインショップ「ホレボレ滋賀」の運営をしている植田睦美さんと、木之本のオカンの一人である藤谷法子さんに、発酵オカンやオカンの発酵便について詳しく聞いてきました。

取材中の一コマ。味噌について教えてもらっています

想像以上のオカンのパワフルさにも注目してください。

藤谷法子(のりこ)

兵庫県生まれ、滋賀県長浜市木之本町在住。木之本の発酵食品のサブスク「オカンの定期便」を手掛ける「ツボのソコ」のメンバーの一人。発酵便を通して木之本の発酵食の味の継承を目指している。他にも「Book Cafe 住暮楽・すくらむ」運営や明楽寺の坊守を務めている。

植田睦美(むつみ)

大阪生まれ。ヨガ講師・ライター。夫婦で「ホレボレ滋賀」を運営。2020年に結婚をきっかけに長浜で暮らすことに。湖と山のある美しい土地で創り出される「MADE IN SHIGA」の食やモノ、その作り手たちに出会い、私の暮らしがどんどん豊かになっていくのを感じています。

オカンの味を全国へ

よう来てくれたね〜。どうぞどうぞ。

ご無沙汰してます!明楽寺、久しぶりに来たな〜。

おはようございます〜!今日は一緒に赤ちゃんを連れてきました。

可愛い!今日は「オカンの発酵便」について詳しく聞かせてください!

よろしくお願いします!

よろしくお願いします!

そもそも「オカンの発酵便」は何のことなんでしょうか?

長浜市木之本町に住むオカン(お母さん)たちが、普段から作る奈良漬けや味噌などの発酵食品を一つのパッケージにまとめたものです。

季節に合わせた野菜を使い、年に4回、オンラインショップ「ホレボレ滋賀」で販売しています。

だから「発酵便」という名前なんですね。

商品が生まれた経緯についても教えてください!

私は木之本を盛り上げる「活性化推進委員会」に入っていて、地域の人たちと木之本を盛り上げるための方法を話し合ってきました。

話し合いの中で出てくるのは、観光の目玉を作るような外に目を向けた案ばかり。

地元の人ほど「ここには何もない」って言いますよね。

県外から嫁いできた私からすると「木之本は空気も水も美味しいのに、なんで木之本の良さに目を向けんの?」と思っていました。

そこで、他のメンバーと相談しながら、木之本の特徴の一つである“発酵”をテーマに、何かできないかという話になったのが始まりです。

そこで「ツボのソコ」というチームができたんですよね?

そうそう。むつみさんの旦那さんの淳平くんが中心となって、2019年にチームが結成されました。

私が木之本に移住したのが2020年。気づけば、私もツボのソコのメンバーに加入していました(笑)。

チーム結成後しばらくして、発酵食品を定期的に届ける商品を作ることに。自分たちの活動を広めるためにクラウドファンディングを実施しました。

「​​オカンからの発酵便 滋賀・木之本のオカンがつくるリアルな家庭の味を食卓へ」

これまでオカンたちは、自分の家族のために作ったり「すくらむ」で提供するために作ったりしてきたんですが、クラウドファンディングをきっかけに、全国の人たちに向けて発酵食品を作ることになりました。

具体的にはどこの地域の方が購入されているんですか?

東京や四国に住む方など、滋賀県外の方にも商品を買っていただいています。

中には、木之本にルーツがある方もいらっしゃり、地域と繋がるきっかけになっているのがすごく嬉しいです。

商品を通して自分のルーツに触れる

オカンの発酵便の特徴について教えてください!

一番の人気商品は「木之本漬け(奈良漬け)」です。450年の歴史を持つ「冨田酒造」さんの酒粕と、500年近く続く「山路酒造」さんのみりん粕でできた漬物。木之本の2大酒造の材料を使って、2年間漬けた商品です。

木之本漬け

2年間も漬けるんですか!?待ってられるかな。ボク、結構せっかちなんです。

2年間ずっと放置しているのではなく、1年目が終わったタイミングで酒粕もみりん粕も両方新しいものに変えるんです。

2倍の手間がかかるんです。

手間がかかる分、自分たちが美味しいと思える木之本漬けに仕上がります。「木之本の新しい名物にできたらいいね」とみんなで話しています。

何個ものツボの中に野菜が漬けられていました

県外に行く際、手土産として持って行ったら喜んでもらえそう。実際に商品を売ってみて、反響はありましたか?

コロナ禍でイベントができていなかったんですが、つい先日、数年ぶりにリアルイベントを開催できました。

木之本漬けを購入してくださった方が関東から来てくださるなど、たくさんの方にお越しいただきました。

商品を購入している分、思い入れは強くなりますよね。

「祖母が作る木之本漬けをもう食べられないと思っていたんですが、食べられて嬉しいです」と話してくださる方もいて、理想的なカタチができたなとみんなで喜んでいました。

2023年11月に開催されたイベントの様子

商品の存在が自分のルーツに触れるきっかけになるんですね。新しい視点だなぁ。

オカンの発酵便を通じてお客様と密な関係をとれるのが嬉しいですね。

今後は漬物や味噌作りのワークショップもやりたいと思っているので、イベントやワークショップをきっかけに木之本に遊びに来てもらえたらと思っています。

アップデートし続けるオカン

発酵便に使っている野菜は、木之本付近で採れたモノで、添加物を使わずに作っています。人工的なモノを使わずに作っているのも大きな特徴。

身体に優しい商品であることも、自信を持って売れる理由の一つです。

大量生産ではなく一つずつ手作りだからこそ、身体に優しい商品を作れるのかぁ。

保存環境によると思うんですが、発酵食ってどんどん発酵していくじゃないですか。

定期便では、年や季節ごとに違う味の変化を楽しんでもらえたらと思っています。

季節によって採れる野菜が違いますし、温度によっても発酵具合が変わります。

その都度変わる味の変化を楽しんでもらえたら嬉しいです。

ちなみに、代々伝わる秘伝のレシピみたいなものはあるんですか…?

オカンたちは手書きのノートにレシピを書き溜めているんですよ。「この料理は〇〇を入れたら美味しいで」とか「△△はどうやって作ったん?」と日々情報交換をしているんです。

忖度なしに意見を言い合っている様子が想像できますね。

試作をしてはみんなに食べてもらって、料理を改良し続ける。オカンたちは自然にアップデートを繰り返しているんです。

味噌作りするオカンたち

オカンたち自身、実のお母さんや義理のお母さんに聞いたレシピを参考にしているんです。先人たちの知恵に加えて、今の時代に合った料理を作っているのが面白いですよね。

自然なカタチで味が継承されている…!こうして家庭の味ができていくんだろうなぁ。

好きだから気持ちが乗る

木之本は若い世代の人数が減っていて、郷土料理の味を知る人が少なくなっているんです。

それでも、料理を作る人がいて食べる機会があると、文化に触れるきっかけが生まれます。

自分が食べて美味しいと感じたり作ることが楽しかったりするから、自然な結果として周りの人にも知ってほしいと思うんです。

自分が楽しむことが、結果的に地域の食文化を守ることに繋がったら良いなと思っています。

私は美味しいモノが大好き。だから、今の活動を続けられています。

広めるために作るものより、心から楽しんで作ったものの方が、手に取る人にも思いが届きますもんね。

みんながハッピーになれるようなことをしていきたいんです。

無理しないカタチが一番。

お二人の話を聞いて、無理のない自然な感じが伝わってきました。自然体でいることが好感を呼んでいるんだろうなと。

日常でやっていることを発信しているので、無理がないんですよね。商品を作るためだけに発酵食を作っているわけではないので。

オカンたちが本当に家で作ったものを広めているという感じです。

最後に、今後やりたいことについて教えてください!

私たちの活動を通してみんなが盛り上がると良いなと思っています。今後もアップデートを繰り返していきますよ〜。

ワークショップや地域の農家さんとコラボするなど、新しい仕掛けもどんどんしていきたいと考えています。

漬物だけでなく、他の商品も通して食文化や暮らしを伝えていきたいですね。

「オカン」と聞くと、どこか懐かしさを感じ、地元のことを思い出す人も多いのではないでしょうか。ボクはというと、取材後、母と祖母と話をしおばT家の味を聞き出しました。

お二人のお話を聞いていて、印象的だったのは「無理をしないこと」。自然体の様子が周りに伝わるから、ハッピーな人たちが集まってくる。

商品を手に取ることが木之本の文化を知ることに繋がります。まずは手に取ってみて、オカンたちの思いに触れてみてください。

商品は「ホレボレ滋賀」より購入できます。

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