シャッター通りに笑顔を!24歳が挑む『軒下ラボ』の舞台裏

こんにちは!さわ改め、岡田です。

航海記にはちょくちょく登場させていただいていますが、この度久しぶりにライターとして参加させていただきます!
見てくださっているみなさんに、ど根性地べた這いつくばりながら挑戦し続けている私目線で、長浜の面白い取り組みやデザインの裏側を楽しくお届けできるように、取材〜執筆まで頑張ります。よろしくお願いします!
さて、本題に入りたいと思います。
先日Instagramを眺めていたら、見覚えのある顔が目に飛び込んできました。

どうやら以前「長浜航海記」で取り上げたDesignJackのメンバーが、“ノキシタラボ”という新たなプロジェクトに挑戦をしているようです。
「あのクリエイターが今度は街中の軒下で?」と気になりすぎたので、DesignJackのミーティング前にプロジェクトを進めている「中川 拓夢くん」を呼び出し潜入取材をしてきました。
SNSでキラキラして見えるプロジェクトの裏側には、地道な地域との交流や、温かい人との繋がりがありました。

中川拓夢 | 株式会社GranDream 代表取締役
長浜出身。東京の大学へ在学中に、山形へ移住。フリーランスとして活動。その後、カナダへ留学し帰国後、長浜へUターン。2025年に株式会社GranDreamを設立。SNS運用、シェアハウス/民泊の運営等を行う。
目次
起業家やアーティストのチャレンジの場。マニアックな出店者も集まるよろずマルシェ。
突然呼び出してすみません。この前、Instagramに載っていた「ノキシタラボ」ってどんなことをしてるんですか?
いえいえ。あれは簡単にいうと、大通寺通りでマルシェ的なことをしてるんですよ。

マルシェ的なこと?ってことは、普通のマルシェとは違うんですか?
はい。ノキシタラボは名前の通り、軒下を出店場所として使うんです。大通寺通りには今は使っていない空き店舗や家がたくさんあるので、そこの軒下を使って様々な人がチャレンジできるような場を作っている最中なんです。
空き店舗そのものを使うんじゃなくて、軒下を使うというのがまたお祭りっぽい雰囲気になっていいですね!実際にどんな人たちがチャレンジしているのですか?
8月30日に1回お試しで開催した時は、占い師さんや勾玉屋さん、お茶屋さんなど結構マニアックなお店さんが出店してくださいました。
え!マルシェって聞くとハンドメイド作家さんや、ご飯系の屋台を思い浮かべますが、このラインナップは他のマルシェにない感じで面白いですね。

特に占い師さんが印象的でした。若い女性の方がスーッと占い師さんの方に行ったと思ったら「肩が20年間痛い」といい出し、占い師さんとの一通りのやり取りを済ませたら、「軽すぎます!」とすごい喜んで走って帰られたんです。
そんなに効果絶大なんですか!めっちゃ気になりますね。
そうなんです。長浜や周辺には面白い起業家やアーティストの方や、何かやってみたい人がたくさんいるんです。その人たちが第一歩として、観光客がいっぱいくる商店街でチャレンジできる場を作りたいと思って運営しています。
思い出の商店街がシャッターでいっぱいに。地元を盛り上げたいと発足したプロジェクト!
やはり、最初の第一歩は少し怖いものなので、チャレンジしやすい場所があるとこれまで以上に面白いお店や事業が生まれてきそうですね。
中川さんは、なぜこのプロジェクトをやろうと思ったんですか?
僕、小さいころに父と週1くらいで黒壁やその周辺にきて遊んでいたんです。プラモデル屋さんに行ったり、鮎の天ぷらを食べたり…だから、長浜に帰ってきた時からずっと黒壁とその周辺に関わりたくて。
お父さんとの思い出の場所だったんですね。
はい。そんなことを悶々と思っていた時に、僕の運営するシェアハウスで地域おこし協力隊の辻本さんがシェアのイベントを開催されたんです。
あ!「循環型社会」を考えるプロジェクトの記事を航海記で書いた船員ですね。
その辻本さんが開催されたイベントの日がちょうど台風とかぶってしまって、現地での参加者が少なめだったんです。だから、辻本さんと一緒に来られていた市役所の方と喋る機会が突然できて…

その市役所の方が「どんなことがやってみたいの?」と聞いてくださったので、「黒壁やその周辺のことについて関わってみたいです!」と答えたら、今の軒先ラボを担当してくださっている職員の方に繋げていただいてプロジェクトがスタートしました。
え!辻本さんまさかのキューピットじゃないですか!
ノキシタラボの担当課さんはどのような課題感を抱えてたんですか?
観光客の歩行率です。黒壁通りから始まって、大通寺通りに向かうにつれてだんだんと歩行率が下がっていくんです。大通寺通りに差し掛かったところで、シャッターが降りている商店街を見て引き返してしまう人が多い現状があり、黒壁通り以外の周辺のお店ももっと楽しんでもらいたいという想いがありました。

あとは、黒壁周辺の事業者さんや周辺の住民さんからは「昔はもっと賑わっていた」「あの頃を取り戻したい」という声もあり、軒下をうまく活用することで賑わいを取り戻せるんじゃないかという仮説が生まれ、その仮説を検証するためにプロジェクトが発足しました。
なるほど。だからノキシタ“ラボ”という名前なんですね!
軒下で挑んだ初陣、その結果はまさかの大失敗!?
先日Instagramに載っていたのは1回目のノキシタラボですよね!開催してみてどうでしたか?
正直にいいます…大失敗でした。
え?SNSでキラキラして見えていたのに、大失敗していたんですか!
まぁどこを切りとって、成功や失敗とするかですが…事故もなく無事開催できたことは成功でしたが、出店してくださった方の売上があまり立てられなかったのと、集客数が予想を遥かに下回ってしまい、僕的には失敗したと感じています。
そもそも人があまりいないところに人を呼び込むのは難しいですよね。何かチャレンジした集客戦略はあるんですか?
それが、今回はあまりできなかったんです。時間がなかったのもありますし、一度開催してみないことには課題が浮き彫りになってこなかったこともあって、出店者や僕のSNS等での発信しかできていませんでした。
SNSには出てこない裏での努力や葛藤があったのではないかと思うのですが、開催までにどんな準備をされたんですか?
まずは出店者さんを集めました。軒下を利用して出店したいと思っている人がこんなにいるんだと提案がしたかったので、マルシェに普段から出店している友達に力を借りて集めてもらいました。
最初は出店者集めからだったんですね。持つべきものは友ですね!心強い。
ノキシタラボを開催するにあたっては沢山の方にご協力をいただきました。
軒下を借りるのも僕1人ではどうすることもできなくて。でも、市役所の方やその地域にゆかりのある議員さんがサポートしてくださり、そのお2人のおかげで借りることができたんです。
強力なサポーターがいたんですね!
はい。様々な人たちの力をお借りして開催することができました。
今回は集客や売上の面で思ったような結果は出せませんでしたが、出店者さんや市役所さん、地域の方々の意見をもっと聞きながら軒下ラボのコンセプトである“チャレンジしやすい場”を模索していきたいと思っています。
コラボしながら進める!地道に地域と繋がり、みんながチャレンジできる場を作る。
今後2回目の開催等はあるんですか?
はい。10月13日にも開催します!長浜 kimono AWARDSも同日に開催なので、多くの人が長浜に来るのではないかと予想して、13日にしました。次回はぜひ、自分の絵を持っているアーティストさんにも出展していただきたいです、
大きなイベントですもんね!kimono AWARDSをきっかけにノキシタラボも楽しんでもらえるといいですね。2回目開催に向けた目標や意気込みはありますか?
大通寺通り周辺の方々とパートナーシップを結んでみんなで盛り上げられるようなプロジェクトにしたいんです。
おぉ、パートナーシップ。具体的にはどんなことをするんですか?
例えば黒壁さんや曳山、地主さんや事業主さんと繋がり連携することで、相乗効果を産むことができると考えています。特に僕はSNSが得意なので外部に表現していくことで貢献していきたいと考えています。
確かに、黒壁通りを抜けると大通寺通りになりますし、他にも通りがあるので周遊してもらえるようになると、より多くの方により長く深く長浜を楽しんでもらえますね!
まさにそうです。パートナーシップを結ぶ土壌を作るためにも、集まりや会議があったらなるべく参加したり、人と繋がれる機会をキャッチして地道に人との繋がりを作っていきたいと考えています。
SNSで発信されていることの裏側にはそんな地道な努力もあったんですね。
SNSで発信できていることは、僕のやっていることの3割くらいですね。後の7割はめっちゃアナログで、ここは誠実さと人情を大切に活動しています。
この取材中も中川さんの熱意と誠実さがビシバシ伝わってきました!誠実さと人情を大切にされている中川さんだからこそ、軒下ラボは沢山の方が支えてくださる温かいプロジェクトなんですね。
はい。そして起業家やアーティストだけにとどまらず何かやってみたい人たちの、最初の一歩を歩めるようなプロジェクトにしていきます!多くの方のチャレンジのきっかけを作れたら幸いです。

SNSで偶然見かけた、ノキシタラボ。
プロジェクトの裏には、沢山の方のアツい想いと、その想いを繋ぎ形にしていく中川さんの誠実さと地道な努力がありました。
私自身も長浜へ移住して、様々なプロジェクトや事業に携わらせていただく機会がありますが、1人で出来ることって少ないなと実感する場面が沢山あります。
中川さんのように、誠実さと人情を大切に、これからも活動や事業を続けていきたいと思えるきっかけになりました!
何かやってみたい方や、ノキシタラボに関わってみたい方は、中川さんのSNSを覗いてみてください。次はあなたが軒下に立つ番かもしれません!
| 問い合わせ先
公式LINE:https://lin.ee/RylpjWp

長浜航海記・船員。京都から長浜へ移住し、株式会社crevus designを設立。小学生向けの体験教室やデザインなどのクリエイティブ事業をしている人。ど根性地べた這いつくばって進むタイプ。