見る人の心を鷲掴み。イベントや企画の方向性を決める「空間・展示デザイン」
こんにちは。おばTです。
イベントシーズン真っ盛りの10月現在。ボクは、週末ごとに長浜周辺で開催されているイベントやマルシェに足を運び、忙しい日々を過ごしています。
イベントに足繁く通う中、ふとこんなことを思いました。
「あの居心地の良い空間ってどうやって作るんだろう?なんで自然とテンションが上がるんだろう?そういえば、ちゃんと考えたことがないな」
ボクは過去に何度かイベントを開催したことがあるんですが、その時は何となく抱いているイメージで配置をして、何となく運営をしていました。
このまま我流で進めるのはあまり得策じゃない。その道のプロに聞けば、きっと何かポイントがあるはず。
そこで、イベントや企画のデザインに携わられているデザイナー桐畑淳さんに、展示のデザインを考える際のポイントについて伺ってきました。
桐畑淳|デザイナー
長浜市を拠点にグラフィックデザインや空間デザイン、パッケージデザイン、ロゴマーク制作の分野を中心に活動。シルクスクリーン印刷の作品制作・ワークショップも行う。瓜生山学園京都芸術大学空間演出デザイン学科 教員。
<先に分かるデザイン発注のいろは>
桐畑さんが関わられた空間・ディスプレイ。
イベント企画で頭を悩ませているそこのアナタ!今からその悩みを桐畑さんが解決してくれますよ。
軸となるコンセプトを決めることが最初の一歩
最近、イベントの企画をすることが多くなってきたんですが、イベントの展示物を作る時、何から考えれば良いんでしょうか?
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「オシャレにしたい!」という思いは何となくあるんですが、よく分からなくて。
大きな柱となるコンセプトを決めることが一番大事です。僕の場合、まず最初にコンセプトを確認しますね。コンセプトって結構難しく考えてしまう人が多いんですが、なんでも大丈夫です。
なんでも…?
「漠然とした「森みたいな感じ」とか「琵琶湖のイメージ」みたいな感じでOKです。
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言語化し切れていなくても、なんとなく抱いているイメージを伝えていただければ、一緒に少しずつ突き詰めていくので。
具体的なイメージがないとダメなのかと思っていました。あまり知識がない立場からすると、ふわっとした状態でも相談できるのを知って、安心しています。
大きな柱さえ決められたら、あとは細かく広げていく作業になります。
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アイデアを出す段階では、色んな意見が飛び交って途中で迷いませんか?
あれもこれもとなって、迷うことが結構ありますね。
迷ったら原点であるコンセプトに立ち返れば良いんです。「コンセプトに合うかどうか」という軸があると考えやすいですよね。
確かに。そうは言っても、コンセプトをうまく決められるか不安です…。
基本的にコンセプトがない人はいないと思うんです。「コンセプトが分かりません」という人でも、話しているうちに出てくることがほとんど。
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会話の中で自然と出てきたキーワードをもとに、コンセプトを作ることもあります。
コンセプトができた後の進め方についても教えてください。
コンセプトができたらラフスケッチを描きます。こんな感じですね。
めちゃくちゃリアル!ラフスケッチがあることで、かなり具体的にイメージできました。ラフスケッチには「1950」と描かれているんですが、1950年当時の情報はどうやって集められたんですか?
様々な資料を見て勉強しました。
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仮に「1950年代の雰囲気を味わってほしい」というコンセプトであれば、当時の雰囲気を味わってもらうためにどんな工夫ができるのかを考える。
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空間デザイナーの腕の見せ所です。
一つの表現を生み出す裏側には膨大な知識の裏付けがあるんですね。
コンセプトをもとに「どうすればイメージが伝わるのか」「イメージを伝えるためにはどんな演出が必要なのか」「照明はどうすればいいのか」などを考え、カタチにするのが空間デザイナーの仕事です。
価値や見方を変えられるのが空間の力
展示と言ってもいろんな展示がありますよね。桐畑さんが考える「良い展示」はどんな展示ですか?
良い展示は、一貫したコンセプトや雰囲気がある展示ですね。
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ただ単にお金をかけて作るのが良い展示ではありません。お金を使わなくても展示に一貫性があれば、良い展示と言えます。
何事もコンセプトが大事になるんですね!普段、生活する中で「これは面白い!」と感じる展示物に出会うことはありますか?
結構ありますよ。
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例えば、缶コーヒーの空き缶をペン立てに使うとか。「そんな使い方があるんだ」と気付かされる時は嬉しくなりますね。
デザインの知識がないボクだったらスルーしちゃいそう。
モノが元々持っている意味や価値を見出す作業が楽しくて。ただ単純に並べるだけじゃなく、モノの価値や見方を変えられるのが空間の力。
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展示の仕方次第で、商品の背景をどれだけ伝えられるかが決まってきます。
意味や価値を見出す。普段ボクたちが見ている展示物からは、企画者やデザイナーさんが見出した意味や価値を受け取っているんですね。
商品の背景や商品本来の意味を分かりやすく伝えられるのが、空間・ディスプレイデザインの醍醐味です。
通訳や翻訳としての役割もあるんですね。
空間に入った瞬間に伝わってくるメッセージってあるじゃないですか。
言語化はしにくいんですが、一つずつの空間で感じるものがあります。
文章だけで伝えるわけじゃないんです。五感で伝えるのが基本。視覚で感じるものだけでなく、音や匂いなど、複数の要素が混ざることで一つの空間が成立します。
20年以上の経験から蓄積されてきた知識
同じコンセプトでも、関わるデザイナーさんによって雰囲気が変わると思います。桐畑さんご自身では、“桐畑さんっぽさ”はどんなところにあると思われますか?
僕の特徴は、綺麗にまとめすぎないことですね。
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例えば、綺麗な棚に綺麗なパネルを貼るよりも、工夫を凝らして100円のブロックで棚を作る方が僕らしさが出るかなと。極端な話、川で拾ってきた石でも良いんです。
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コンセプトが伝わりやすいよう、素材選びや表現方法を工夫するのが好きですね。
素材や配置のアイデアってすぐに出てくるものなんですか?
割とすぐに出てきますね。
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20年以上デザインに関わってきた中で、自分の頭の中に蓄積されてきた知識が組み合わさって出てくる感覚です。
引き出しの数が多いからこそ、幅広い案件に対応できるんですね。
また、デザイナーだけでなく建築士の資格も持っており、企画から空間設計、グラフィックデザイン、全体の展開も一気通貫で考えられるのは僕の特徴の一つだと思います。
イベントや企画関連のデザインはぜひ桐畑さんにお任せしたいです。
性格的な部分で言うと、僕は知的好奇心があるタイプなので、興味の幅が広いのも影響していると思います。
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興味があることをどんどんやっていった結果、知識やアイデアの引き出しの数が増えていきました。
知的好奇心、見習います!
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デザインについて学んでいきたいと思っているんですが、普段のインプットはどのようにされているんですか?
各地域で行われている展示に足を運んで、直接見るようにしています。このノートはオリジナルスクラップです。
すごい…!展示の特徴や工夫しているところなど、桐畑さんの目線からメモが書かれています。
なんとなく見ているものでも、実はかなり洗練されているんです。
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「この使い方は上手だな」と感心してはノートに書き写し、インプットしています。
まさに努力の結晶。
見せ方一つで与える印象は大きく変わる
デザインや展示物については、どれぐらい前から相談するのが良いんでしょうか?
規模にもよりますが、1ヶ月前ぐらいから余裕を持って相談していただく方が進めやすいです。
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いつ開催するか決まっていなくても「こんな展示やイベントをしたいんですけど、どうしたらいいですかね?」というような、気軽な相談も全然大丈夫です。
桐畑さんの言葉に助けられる企画者は多いだろうなぁ…。
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ちなみに、費用が発生するタイミングはどこからでしょうか?
ラフスケッチを描くところからですね。展示やイベントの話をして「じゃあ、一緒にやりましょう」とお互いに合意してからスタートします。
最初から費用が発生するタイミングが分かっていると、より安心して相談できそうです。
せっかく良い作品や商品を売っているのに、本来の魅力を届け切れていない事業者さんもいらっしゃいます。それはすごくもったいないなと。
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商品の見せ方一つで与える印象は大きく変わるので、見せ方の部分から相談してもらえると嬉しいです。
桐畑さんに相談をすることで、事業の見直しや整理にもなりそうです。
コンセプトのブラッシュアップも一緒にできるといいですね。
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空間・ディスプレイデザインは関わっている人みんなが一緒になって盛り上がってくれるので、楽しいし面白いです。
引き出しの多さや膨大な知識の蓄積の裏側には、桐畑さんの多大なる努力がありました。取材を通して、知識があるとこんなにも見方が変わるんだという体験ができ、知識の重要性を感じています。
今後は「この展示にはどんな意図があるのかな?」「何を工夫しているんだろう?」「コンセプトとの一貫性は?」と見てみることにします。考えるだけでワクワクしませんか?
お話にもあったように、桐畑さんはコンセプトの整理から気軽に相談を受けてくださいます。また、グラフィックデザインの相談も対応可能です。企画やイベントをする際にはぜひ桐畑さんまでメールでご相談ください。
メール:kiriri47@gmail.com
長浜航海記・航海士。永遠の野球小僧。「長浜にはしばらく帰ってこーへん!」と言いつつ、23歳のときに爆速Uターン。以来、地元のことがちょっぴり好きになりました。野球と筋トレ、オードリーが好き