破壊と創造を繰り返して生まれる、常識に縛られない唯一無二のクリエイティブ力とは
こんにちは、あこです!
私の最近の悩みは「デザインの幅をもっと広げたい。」って思うこと。
ライターとしての表現力はもちろん、一緒にデザインの仕事も頼まれることが増えてきた今日この頃。
でも、いつの間にか「こうすべき」という固定観念にとらわれてしまう自分がいます。
もっと自由に、柔軟な発想でクリエイティブな表現ができたらいいのに…。
そんなモヤモヤを抱えていたとき、(株)FIRST MADEの山中貴司さんのことを知りました。
山中さんは、旅や異文化からインスピレーションを受け、常に新しい視点でデザインに挑んでいるんだとか…!
きっと良いアドバイスがもらえるはず。どうしたらもっと自由に発想できるのか、その秘訣を聞きたくて、山中さんに話を聞いてみることにしました。
山中 貴司|Webデザイン、グラフィックデザイン、ブランディング
18〜28歳まで東京でアパレルの仕事を経験したのち、30歳で地元長浜にUターン。独学でデザインを学び、個人事業主を経て、2020年に(株)FIRST MADEを設立。趣味は、ギター、釣り、キャンプ。
<先に分かる「デザイン発注のいろは」>
目次
長浜という場所から広がる、自由で柔軟な働き方のカタチ
まずは現在どのようなお仕事をされているのか教えていただけますか?
はい、滋賀県長浜市を拠点に、ウェブ制作やブランディングを主軸としたデザイン会社を経営しています。企業のPRやブランディング、ウェブサイトのデザインなど、幅広く対応しています。リモートワークを活用して、場所にとらわれず働いているんです。
素敵ですね!そのような働き方は、いつからされているのですか?
もともと東京でアパレル関係の仕事をしていて、実際に長浜に戻って会社を立ち上げた後、コロナ禍でリモートワークが普及したこともあり、一気にそれが現実的になりましたね。今では、長浜に拠点を置きつつも、拠点が固定されていない“どこにでも現れる会社”を目指しています。
確かに今の時代、働く場所にとらわれないのは大きな魅力ですよね。山中さんにとって、どうしてそこまで自由な働き方にこだわるんでしょうか?
自由な発想やクリエイティブな仕事をする上で、場所や時間に制限があるとアイデアも固定されてしまうんです。毎日同じオフィスに行って、同じ景色を見るより、いろいろな場所で新しい経験を積み重ねる方が、自分には合っていると感じますね。
実際にそのスタイルにしてみて、どんなメリットを感じていますか?
やはり場所の制約がなくなると、仕事の生産性も上がるんですよね。例えば、今日は滋賀にいて、明日は東京、次は海外のどこか…というように、そのときに行きたい場所にいても、問題なく仕事が回るんです。旅先やその土地の空気から受けるインスピレーションが、クリエイティブな仕事には欠かせないと感じています。
場所が変わることでアイデアやモチベーションも変わってくるんですね。リモートワークの中で工夫されている点があれば教えてください。
仕事に取り組む時間をしっかりと決めて、集中する時間を作っています。例えば、旅先であっても、Wi-Fiが整っているカフェやホテルで一気に4時間集中して仕事を片付ける。むしろ海外にいると、限られた時間内で集中して仕事を終わらせないと次に移動できないこともあるので、結果的に生産性が高まるんですよね。
限られた時間で集中する…それが生産性アップにつながっているんですね!それにしても、リモートワークのスタイルを取り入れることで仕事のリズムも変わりそうですね。
そうですね。日本にいると、つい「ゆとり」を持ってスケジュールを組みがちなんですが、それがかえって効率を下げることも多いです。逆に、リモートワークだと時間を詰めてタスクをこなして、その後は自由に動けるので、メリハリがついていいんです。移動する時間や予定が決まっていると、毎日が自然と「締め切り効果」みたいになって、だらけずに済みます。
そのメリハリのつけ方は理想的ですね。リモートワークの自由さと締め切りが同居する感じが、山中さんの働き方にすごくマッチしている気がします。
旅と出会いがもたらすアイデアの探求法
山中さんは、世界各国旅をされ、今年は24カ国も訪れたと伺いましたが、旅先で得るアイデアがどんなふうに仕事に生かされているのか、とても気になります!
そうですね。アジア、ヨーロッパ、アフリカ…本当にいろんな地域を訪れると、日本での「当たり前」が他の国では全然違うものだったりするんです。その違いに触れると、「こうでなければならない」って考え自体がどんどん薄れていくんですよね。
確かに、日本の枠組みや常識にとらわれてしまいがちですよね。でも、それを壊すのは簡単じゃないと思います。どうやって「こうあるべき」を外していくんでしょうか?
それはやはり、自分の感覚に気づくことが第一歩です。例えば、ヨーロッパの街並みやアフリカの色彩を目にすると、「なぜこの組み合わせが日本では見られないんだろう?」と感じます。その色の大胆さや、デザインの自由さが、自分の感覚を少しずつ解きほぐしてくれるんですよ。
旅での経験がそのままデザインに表れているんですね!
そうですね。それに、旅を通じて「正解がないこと」に対する価値観が深まったと思います。日本では正解が求められることが多いですが、海外では「これもあり」「あれもあり」といった柔軟さが日常に溶け込んでいる。そこで得た自由な発想が「こうじゃなきゃダメ」という思考を壊して、柔軟なアプローチに結びついているんです。
まさに「破壊と創造」の繰り返しですね。それが、山中さんの会社のミッションにつながっているんでしょうか?
そうですね。「破壊と創造を繰り返して新しい常識を作る」というのを会社のミッションに掲げています。デザインにも「こうあるべき」が存在するんですが、それを一度壊して再構築することで、オリジナリティが生まれるんです。道徳的な価値観は普遍であるべきですが、クリエイティブの面ではフレキシブルに変わっていくことが必要だと思っています。
たくさんの国に行かれて日々の発見や感じたことをどうやってまとめているんですか?
僕はブログを書いていて、旅先や日常で感じたことを記録しておくと、自然と自分の考えが整理されるんです。
ブログではどのような内容を書かれているんですか?
書いている内容は本当に様々で、旅先での出来事やその土地の文化についても多いですね。例えばベトナムに行ったときにはベトナム戦争について感じたことを記事にしたんです。
やっぱりその土地で実際に感じたことだからこそ、リアルに伝わるんでしょうね。
それがきっかけで「ベトナム戦争 悲惨」なんて検索すると未だに上位に表示されるんですよ。そういう記事って、全然デザインと関係ない話題なんですけど、だからこそ面白いと思ってくれる人がいるんです。
デザインとは違う内容でも共感してくれる人がいるんですね。
自分の好きなことを書いているので、ビジネスライクな内容は少なくて。でもそういった内容がクライアントにも伝わって、「山中さんに頼んでみたい」と思ってもらえることがあるんです。実際、ブログがきっかけで東京の大手企業からも依頼をもらったことがあります。
ブログを通じて、山中さんの発見がそのまま作品になっているんですね。リアルな体験が詰まったブログが、クライアントにも響いている気がします。
固定観念を壊す、クリエイティブの無限の可能性
先ほど山中さんが「正解のないことに価値がある」とおっしゃっていたのがすごく印象的だったんですが、それはどういった意味ですか?
最近の世の中って、情報がすぐ手に入るし、AIとかを使えばほとんどのことに「答え」が出せてしまうじゃないですか。例えば、ビジネスの計画や効率的な方法をAIに聞くと、それなりの答えが返ってくる。でも、僕はその「正解」が見えてしまうからこそ、逆にそこに価値を見出せなくなってきたんです。
確かに、先が見えると安心できる反面、ワクワク感が減ってしまうかもしれませんね。
そうなんですよ。だから、僕は旅に出て、いろんな人と直接会って話したりしながら、「正解がない状況」をあえて作ってみるようにしています。決められたルートをたどるのではなく、その場で感じたことを大切にして、そこで生まれる予測不能な出来事を楽しむ感じですね。
あえて答えが見えない状況に身を置くのは、新しいアイデアにもつながりそうです。
実際に海外で現地の人と話していると、日本では考えられない視点が出てきたりして、それがデザインや仕事のアイデアに生きてくるんです。それこそ、道に迷って助けを求めたら知らない人と意気投合したり、予定外の場所に立ち寄ったことで、新しい視点やアイデアが見つかることもある。そういった「予定外」が、実は自分にとってすごく大切なんです。
普通は不安に感じることも、山中さんはそれを楽しみに変えてしまっているんですね。
だからこそ「自由に動ける」っていう働き方が自分に合っているんだと思います。正解がない分、正解がないからこそ、その経験そのものが自分にとっての財産になっている気がします。
長浜から、そして地球にデザインで貢献したいという夢
FIRST MADEのホームページには、「クリエイティブの力を地球の裏側まで」というビジョンを掲げていらっしゃいますが、具体的にはどんなことを目指しているんでしょうか?
僕が旅をする中で特に強く感じたのは、地域によって抱える課題が全然違うことです。例えば、日本では当然とされている識字率も、アフリカやアジアの一部地域ではかなり低かったりするんですよね。
それは考えさせられますね…。日本だと、教育や情報が当たり前に得られる環境に慣れてしまっていますが、それが世界では必ずしも当たり前じゃないんですね。
その影響で、人々が情報にアクセスできなかったり、教育を受けられなかったりして、それが犯罪や貧困にまでつながってしまう。それを目の当たりにしたとき、「自分のスキルで何か貢献できることはないか」と強く思ったんです。
異なる地域の実情に触れることで、そうした思いが芽生えたんですね。具体的にどんな形で貢献したいと考えていますか?
たとえば、教育を受けられない子どもたちにもわかるようなデザインや、AIを活用したツールで情報を届けることができたらと考えています。たとえ文字が読めなくても、視覚的なデザインやアイコンなどで意味が伝わるように工夫することで、何かを知るきっかけや学ぶ機会を作れると思うんです。
文字や言葉に頼らないで情報を伝えるって、まさにデザインの力ですね。一つひとつのデザインや仕事に、山中さんの想いが込められているんですね。
ありがとうございます。会社のミッションとしても「クリエイティブの力で社会の課題を解決する」というのを掲げていて、地球の裏側まで届けるために、今はまず目の前の地域や人々に向き合うことを大切にしています。そして、いずれ自分のスキルや経験が、少しでも困っている人の役に立てればと思っています。
今回の取材を通して、日々新しい経験を通してアイデアを磨く姿勢を聞き、自分の働き方や表現にも、もっと自由と柔軟さを取り入れてみたいと強く思いました。
旅や異文化だけでなく、自分の経験で得たインスピレーションが形となって反映されるのは、唯一無二のものなのではないでしょうか。
枠にとらわれない発想や「正解なき挑戦」を続ける姿勢が、デザインに新しい価値をもたらしてくれるはず。
山中さんからは、きっとワクワクするようなクリエイティブな旅に連れて行ってもらえる、そんな期待感が湧いてきます。
山中さんへの仕事の依頼や詳細連絡はホームページからご連絡ください。
ホームページ:https://firstmade.jp/
長浜航海記・船員。彦根出身。彦根城の石垣のようにガッチリした情熱を持つ。スーパーの催事場で地元の飲食店が出店しているのを見て、「これは美味しいものを広める使命だ!」と勝手に決意。以後、地元の魅力を発信するライターとして活動。